2025.07.31コラム

ツルツル肌への道:ニキビ跡の種類別アプローチと最適な治療

ニキビ跡は、ニキビが治った後も残り続ける跡の総称です。

1~2週間ほどで治るものもあれば、長期間定着して皮膚科的治療を要するものもあります。

この記事では、ニキビ跡の種類とその特徴、種類ごとの治療法についてご紹介いたします。

ニキビ跡とは?跡が残るメカニズムを解説

ニキビ跡とは、ニキビの炎症が治まった後も、肌に残ってしまう赤み・色素沈着・凹み・盛り上がりといった状態を指します。

炎症によって肌の組織が破壊されると、ターンオーバーだけでは回復しにくい跡が残ることがあります。 特に赤く腫れたり膿を持ったニキビは、真皮層までダメージが及びやすく、跡が残りやすい傾向にあります。

また、誤ったスキンケアや潰す行為も悪化要因となり、時間が経っても改善しにくくなります。 それぞれの跡に合わせた適切な治療を行うことが、美肌への近道といえるでしょう。

ニキビ跡の種類

ニキビ後は種類ごとに原因や特徴が異なります。

こちらではどのような種類があるのか、特徴とともに解説いたします。

赤みがあるタイプ

赤みが残るタイプのニキビ跡は、ニキビによる炎症が治まった後も毛細血管が拡張した状態が続くことで起こります。

赤くなるタイプのニキビ跡は以下の2パターンに分けられます。

  • 炎症による急性の赤み(ニキビができてから1カ月以内)
  • 組織を修復する際に血管新生が起こり慢性的に赤くなっている状態(ニキビができてから数カ月以上経過している)

急性の赤みであれば放置していても治る可能性はありますが、慢性的な赤みは放置しても改善しにくいため、お早めに皮膚科やクリニックへの受診をおすすめいたします。

色素沈着するタイプ

色素沈着は、ニキビのような炎症の影響でメラノサイト(メラニンを生成する細胞)が活性化することで起こります。

その結果、ニキビが治っても茶色や紫色のシミのような跡が残ってしまうことがあります。

色素沈着は改善までに時間がかかるケースが多く、継続的な治療が必要です。

へこんでクレーター状になるタイプ

クレーター状のニキビ跡は、炎症が真皮層にまで達し、肌のクレーター状のニキビ跡は、ニキビを放置したり、同じ箇所に何度もニキビが繰り返しできることが原因で生じます。

医学的には、「陥凹性瘢痕」と呼ばれ、ニキビ跡治療の中でも難易度が高いのがこのタイプとされています。

表面の皮膚だけではなく、深層の組織まで傷ついているため、セルフケアでは改善が難しいのが特徴です。

ローリング型

ボックス型

アイスピック型

など、凹みの形状によって分類されます。

これらは肌表面の凹凸として目立つため、メイクでも隠しにくいのが特徴です。

跡が盛り上がるタイプ

ニキビ跡が盛り上がってしまうケースは、肥厚性瘢痕やケロイドと呼ばれます。 どちらのタイプも痛みやかゆみを伴うケースもあります。

肥厚性瘢痕

ニキビ跡が周囲の皮膚よりも盛り上がったものを肥厚性瘢痕と呼びます。

ニキビのような炎症や傷が治癒する段階で、過剰に瘢痕組織が生成されることが原因とされ、傷跡が赤紫色や暗褐色になる事例もあります。

ケロイド

ケロイドは元のニキビ跡や傷よりも大きく膨れ上がった状態のものを指します。

ニキビが長引いた時などにケロイドが発症する可能性が高く、発症のしやすさには体質も大きく関係しています。

こうしたニキビ後は放置しても治りにくく、盛り上がる範囲が広がることもあるため、早めの治療が望ましいでしょう。

ニキビ跡の治療法を種類ごとに解説

こちらでは、ニキビ跡の種類ごとに適した治療法をご紹介します。

赤みや色素沈着


赤みや色素沈着は比較的浅い層にあるため、医療機関での治療によって早期の改善が期待できます。

赤みにはフォト治療(IPL治療)

赤みのあるニキビ跡には、フォト治療(IPL)が効果的です。

IPLの光で毛細血管の拡張原因となる内皮細胞にダメージを与えることで、毛細血管の拡張を抑えられます。

Vビーム(VDL)を赤みのあるニキビ跡の治療に用いることもありますが、ダウンタイムや副作用の少なさにおいてはIPLに軍配が上がります。

はなふさ皮膚科では、複数のIPL機器を使用しております。機種ごとの違いなどについては、カウンセリング時にご説明させていただきます。

色素沈着には内服薬・外用薬

色素沈着タイプのニキビ跡には、内服薬や外用薬を用いて治療をすることが一般的です。

内服薬

トラネキサム酸やビタミンCなどの内服薬を処方されるケースが多いです。

ビタミンCは特に禁忌はありませんが、トラネキサム酸は服用している薬によっては相性がよくないこともあるので、診察時によく医師とご相談ください。

外用薬

外用薬ではハイドロキノンやトレチノインなどが用いられます。

これらの外用薬はメラニンの生成を抑えたり、ターンオーバーを促進する働きがあります。

トレチノインは肌に塗るとトレチノイン(ビタミンA)反応といって、一時的に皮むけや赤みといった反応が出ることが多いです。数週間で収まることがほとんどですが、あまりに症状がひどい場合は医師に相談して服用の継続可否をご確認ください。

こうした外用薬を使用している間は皮膚が敏感になっているので、紫外線対策も並行して行うことが重要です。

跡が盛り上がる(肥厚性瘢痕・ケロイド)

盛り上がるタイプのニキビ跡には、いくつかの治療法が存在します。

ボトックス注射

ボトックス注射はボツリヌス菌による筋弛緩作用を利用し、筋肉の働きを弱めてシワのケアなどに用いられています。

近年、ボトックス注射が肥厚性瘢痕・ケロイドの治療に有用性があることが示され、ニキビ跡の治療にも使用されています。

ボトックス注射が盛り上がるタイプのニキビ跡に効果的な理由として、以下の3点が挙げられます。

  1. ニキビ跡の周囲の筋肉の働きを弱めて傷跡を引っ張る力を抑える
  2. 炎症を治める
  3. 線維芽細胞の働きを抑えて異常線維化を抑制する

ボトックス注射には顔のこわばりや表情の変化といったリスクもあるので、注射の量や注入箇所は医師とよくご相談ください。

ケナコルト(トリアムシノロンアセトニド)注射

ケナコルト(トリアムシノロンアセトニド)注射は、ステロイド注射の一種です。

肥厚性瘢痕・ケロイドにケナコルト注射をすることで、炎症を抑えて線維芽細胞の過剰な働きを抑える効果が期待できます。

ケナコルト注射は保険適用のため治療にかかる費用を抑えられるというメリットがあります。

その一方で治療には1カ月以上の間隔を開けること、傷ができたり手術をした後1カ月以上は注射を控える、といった注意点もあらかじめ把握しておきましょう。

リザベン(トラニラスト)内服

リザベン(トラニラスト)内服薬は、過剰なコラーゲンの増生を促すサイトカインや活性酸素の産生を抑える働きがある薬剤です。

コラーゲンの増生を抑えることで線維芽細胞の活性や炎症を抑え、ケロイドや肥厚性瘢痕の症状改善が確認され、盛り上がるタイプのニキビ跡の治療法として近年注目を集めています。

厚生労働省の認可を受けており、保険も適用されるため継続しやすい治療法といえるでしょう。

クレーター状のニキビ跡は形状により治療法が異なる

クレーター状のニキビ跡は、形状によって適切な治療法が異なります。

ローリング型

なだらかにへこむローリング型は、皮下組織以下に異常線維組織(コラーゲン)が生まれて皮膚を引っ張っていることで生じます。

表皮自体は傷ついていないので、サブシジョンという瘢痕組織の癒着を切断する施術が効果的です。

はなふさ皮膚科では花房式(サブシジョン+炭酸ガスレーザー)で皮膚を引っ張る力を解除し、ヒアルロン酸を注入することで表皮を押し上げてへこみの治療を行っております。

ボックス型

ボックス型は、横から見ると四角い形をしたクレーター状のニキビ跡です

浅い凹みには花房式治療だけで十分な効果が見込めます。

凹みが深い場合は跡のエッジを炭酸ガスレーザーで削ってなだらかにし、サブシジョンで瘢痕組織の癒着を切断してからヒアルロン酸注入を行います。

アイスピック型

アイスピック型は直径が小さいものの、穴の深さが深いニキビ跡のことです。

ニキビが長引いて毛穴から膿が排出され続け、毛穴に沿って皮膚の線維化が進むことで鋭く深い穴が作られてしまいます。

浅いアイスピック型の場合は炭酸ガスレーザーで跡のエッジ部分を削るだけで、時間が経過するごとに目立ちにくくなります。

跡が深い場合、当院では花房式で治療を行うことが多いです。

エッジを広めに炭酸ガスレーザーで削ってなだらかにし、サブシジョンで癒着を切断して時間とともに目立たなくなるよう治療します。

まとめ:ニキビ跡の種類に合わせて治療法を選ぼう

一言でニキビ跡といっても、様々な種類があり、それぞれ適切な治療法が異なります。

赤みや色素沈着はフォトフェイシャルや内服薬など比較的手軽な治療法を用いますが、クレーターや盛り上がりタイプは注射やレーザーなど専門的な治療が必要です。

ニキビ跡は自己判断でのケアや放置で改善しにくく、悪化することも少なくないため、適切な治療やケアを行うためにも、皮膚科や美容クリニックで相談することをおすすめします。

正しい診断と最適な治療を受けることがニキビ跡治療の近道です。ニキビやニキビ跡でお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談くださいませ。

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